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夜と霧 新版   ヴィクトール・E・フランクル

定価:¥ 1,575 (税込み)
価格:¥ 1,575 (税込み)
メーカー:みすず書房
著者:ヴィクトール・E・フランクル

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ユーズド価格:¥ 956~ (税込み)
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レビュー
   名著の新訳には、つねに大きな期待と幾分かの不安がつきまとう。訳者や版元の重圧も察するにあまりあるが、その緊張感と真摯さのためか、多くの場合成功を収めているように思われる。本書もまた、その列に加わるものであろう。

   ユダヤ人精神分析学者がみずからのナチス強制収容所体験をつづった本書は、わが国でも1956年の初版以来、すでに古典として読みつがれている。著者は悪名高いアウシュビッツとその支所に収容されるが、想像も及ばぬ苛酷な環境を生き抜き、ついに解放される。家族は収容所で命を落とし、たった1人残されての生還だったという。

   このような経験は、残念ながらあの時代と地域ではけっして珍しいものではない。収容所の体験記も、大戦後には数多く発表されている。その中にあって、なぜ本書が半世紀以上を経て、なお生命を保っているのだろうか。今回はじめて手にした読者は、深い詠嘆とともにその理由を感得するはずである。

   著者は学者らしい観察眼で、極限におかれた人々の心理状態を分析する。なぜ監督官たちは人間を虫けらのように扱って平気でいられるのか、被収容者たちはどうやって精神の平衡を保ち、または崩壊させてゆくのか。こうした問いを突きつめてゆくうち、著者の思索は人間存在そのものにまで及ぶ。というよりも、むしろ人間を解き明かすために収容所という舞台を借りているとさえ思えるほど、その洞察は深遠にして哲学的である。「生きることからなにを期待するかではなく、……生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題」というような忘れがたい一節が、新しくみずみずしい日本語となって、随所に光をおびている。本書の読後感は一手記のそれではなく、すぐれた文学や哲学書のものであろう。

   今回の底本には、旧版に比べてさまざまな変更点や相違が見られるという。それには1人の哲学者と彼を取り巻く世界の変化が反映されている。一度、双方を読み比べてみることをすすめたい。それだけの価値ある書物である。 (大滝浩太郎)



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ユーザーレビュー
  • 極限状態で、生きることと死ぬことに向き合った人の大きな遺産 (2008-12-16)

    この本は、ナチスドイツの収容所生活を体験したユダヤ人心理学者が書いた記録です。著者のフランクルは囚われの身ながら、心理学者としての視点で強制収容所に囚われた人々の様子、心の動き、それに基づく行動を記録していました。客観性を重視しているためでしょう、当時の状況を語る文体は淡々としていますが、それが返って収容所の悲惨な状況をよく描き出しているように思えます。著者は収容所での凄まじい体験を心理学という学問によって言葉へと変換し、 多くの人に、生と死を考えさせることに成功したと言えるでしょう。 著者がここまで人間の生に迫ることができたのは やはり本当に死の淵を体験したから、生だけでなく死についても考えたからではないかと私は思います。 我々の今生きている世界にはどんどんバーチャルな世界が構築されており、 それに比例して死のリアリティが失われているように思いますが、そのような状況の中でこの本が語りかける内容は日に日に重要性を増しているように思えます。

  • 生きるを自らに問う (2008-10-06)

    あらかじめお断りしておきますが、私は旧版を読んでいません。ですので比較はできません。強制収容所については多くの著書や映画がある。しかし、この著作はそれらとは視点がことなるものである。心理学者という目でみた人間への最大の問いかけとそして生きる姿がここに記されている。人間の生きることに心理がどのように影響しているのか、極限で生きる人の心はどのような状態に陥るのか。しかし、決して心理学をうったえて問うているものではない。およそ、強制収容所での生活など微塵も想像できない、人間にも人間の心とは何かを著者はうったえている。人間が人間である限りに著者が私たちにうったえるものは普遍的である。一度、手にとって読んでいただきたい。戦争や惨事を扱ったものを悲しすぎて読めない、という気持ちはわかる。しかし読んでみてはじめてわかることもある。彼らがうったえることをなかったことにしてしまうことは非情なことでもある。自らのこれからの生き方を誰でもなく、自らに問うて必死に生きていきたい。

  • 生きる意味は自分で見つける (2008-08-30)

    医師国家試験に合格した親友にお祝いを贈ったところ、返礼としてもらった大切な本。極限状態でも人生の意味を見出すことはできる。翻って現代の日本を見てみると、自分自身の人生の意味を見いだせずに自分や他人の生命を奪う若者が多いことに気づく。本書の内容や著者フランクルをはじめとした実存主義思想は今の日本にこそ有用ではないだろうか。




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